【賠償編】社有車で事故を起こしてしまったら…
会社の社用車を従業員が使うことはよくあることです。社用車の運転中に従業員が事故を起こしてしまった場合、従業員と企業の帰責性の問題が発生します。ここでは、従業員が社用車で事故を起こしたときの法的責任について考えていきます。
社有車で事故を起こしたら賠償金は誰が払うのか

会社の従業員が社用車で事故を起こしてしまったら、被害者への賠償と車両の修理費用は、従業員と企業が連帯責任して負担します。
法律でも使用者責任と運行供用者責任が規定され、事故の被害者は従業員と企業のどちらにも賠償を請求できることになります。
多くのケースでは、賠償金の支払い能力があるほうに被害者は請求しています。例えば、支払い能力が大きい企業が、被害者の賠償金を負担したならば、従業員にその一部を求めることもあります。このことを求償権といいます。
運転者本人に支払いを求めることはできるのか
社用車の運転者である従業員への賠償請求も自己の被害者は可能です。被害者の賠償請求は連帯債務であるため、企業に求めても従業員に求めても構いません。しかし、従業員が賠償金を負担した場合、企業に対して求償する逆求償が認められる判例もあるため、全額を従業員が負担することはありません。この求償権は、連帯責任のある一方が賠償額を支払った場合、もう一方に対して負担分を請求することです。事前に雇用契約書で賠償金や車両の修理費の規定を企業が設けても、法的に有効ではありません。
社用車による事故の賠償額事例
社用車による事故賠償は、様々な要件が関係しています。企業や従業員の賠償金や修理費の負担を一概に示すことはできません。そこで、こうした事例について判例を考えていきます。
高額賠償事案判例(人身事故)の例
交通事故による人身事故は誰にでも起こりえます。人身事故で高額賠償事案になると、数億円の損害額を支払う必要性もあり得ます。例えば、41歳の医師を交通事故で死亡させた場合の賠償額は5億2,800万円でした。多くの事故の場合は人身傷害保険による支払いが可能ですが、保険に未加入であれば大きな負担が強いられます。
従業員が社用車中に人身事故を起こした場合は、この高額賠償を従業員とともに企業も負担します。事故の被害者は損害賠償を負担できる側に請求します。人身傷害保険付きの自動車保険に加入することは当然ですが、従業員が事故を起こさない対策を実施することが大切です。
※参照元:損保ジャパン公式サイト
( https://www.sompo-japan.co.jp/knowledge/basic/service/contents7/ )
軽井沢スキーバス事故
平成28年、長野県のスキーバス転落事故で15人が死亡した事故がありました。当時亡くなった男子大学生の遺族3名が、バス会社と経営者らに訴訟を起こしました。訴訟の結果8,800万円の損害賠償の支払いをさいたま地裁は命じました。この事故では、バス運転手に十分な訓練をさせずに業務につかせた経営者の過失が認定されています。また、長野県警はバス会社の業務上過失致死容疑で死亡した運転手とバス会社経営者を書類送検しています。
この事故でもわかるように、企業の従業員の熟練度の低さも企業経営者の過失として認定されるため、企業経営者は従業員の運転に責任を持つことが求められています。
※参照元:産経新聞公式サイト
( https://www.sankei.com/article/20191220-C7NSQ3OLGFNILJG6S4WKFI75SA/ )
タクシーによる事故
死亡を含む人身事故は、被害者の収入、就労可能期間、治療費、葬儀費用、着衣損害などを考慮して損害賠償額が決まります。平成23年の横浜地裁の判例では、41歳の開業医がタクシーにはねられ事例で、5億円を超える賠償金が命じられました。男性医師の扶養家族は妻のみでしたが、被害者の就労可能期間や基礎収入などを考慮して算出されています。ただし、この事件は被害者側の過失割合が60%であったため、過失相殺され実際に支払われたのは約2億円でした。
この2億円の賠償金が、タクシー会社と運転手の連帯債務となります。保険に加入していることも大切ですが、事故予防の重要性が理解でるでしょう。
※参照元:交通事故弁護士相談リンク
( https://jikobengoshi-link.com/column/isharyo/3199/ )
まとめ
社用車での交通事故の賠償金は大きなものになります。その賠償金は運転していた従業員だけでなく、企業経営者にも深く関係しています。保険に加入することも大切なことですが、事故そのものを起こさないことが重要です。
AIドラレコなどの資料管理システムを活用し、事故の削減や安全対策を実施することが企業の存続に深く関係しています。
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AI 搭載ドラレコ 3 選
これからの車両管理システムには、安全管理機能が必須です。
        そこで、ここではすでに多くの企業で導入されている3つのAI搭載型のドライブレコーダーを紹介します。
        それぞれタイプが異なるので、導入の参考にしてください。
| 管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 | 
|---|---|---|
| 運転者認証 | 顔認証(自動) | |
| データ閲覧 可能な人  | 
						管理者 | 運転者 | 
| アルコール チェック  | 
						連携・一元管理 | |
| プラン | 購入 | レンタル | 
| トライアル | 2ヶ月可 (台数による)  | 
					|
特徴
- 精度の高いAIが本当に危険な運転だけを検出・可視化。管理者の確認負荷を減らし効果的な指導ができる。機能は随時追加。
 - 他製品には少ない「本人への週次レポート通知」により、運転者の自覚を促し安全意識を高め、未然の事故防止を実現する。
 
運営会社
GOドライブ株式会社
| 管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 | 
|---|---|---|
| 運転者認証 | 顔認証(自動) | |
| データ閲覧 可能な人  | 
						管理者 | 運転者 | 
| アルコール チェック  | 
						連携・一元管理 | |
| プラン | 購入 | レンタル | 
| トライアル | 可能 (台数による)  | 
					|
特徴
- 一般的なAIドラレコは20km/h(※1)前後が限界とされる中、8km/h(※2)の低速でも携帯保持や喫煙を高精度に検知。 リスクを早期に可視化。
 - 全世界から集めた50億(※3)km超の走行データでAIが進化。自社開発のハードが常にAIの最新アルゴリズムに対応し、導入後も高精度な安全管理を長期に実現。
 
運営会社
Nauto Japan合同会社
| 管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 | 
|---|---|---|
| 運転者認証 | 免許証 | |
| データ閲覧 可能な人  | 
						管理者 | 運転者 | 
| アルコール チェック  | 
						オプション | |
| プラン | 購入 | レンタル | 
| トライアル | 2週間可 | |
特徴
- 安全管理の「Safety」、動態管理の「NEXT」、アルコールチェック、物流・バス向けなど、必要に応じて連携が可能。
 - AIで危険運転を警告し事故回避をサポート、日常運転も含めた全走行データを収集、事故や危険運転の映像を直ちに再生可能。
 
運営会社
NTTドコモビジネス株式会社
(※1)参照元:LINEヤフー公式サイト
https://minkara.carview.co.jp/userid/3358572/blog/45150239/
(※1)参照元:電子情報通信学会公式サイト
https://www.ieice.org/publications/conference-FIT-DVDs/FIT2011/data/pdf/I-014.pdf
(※1)参照元:国土交通省公式サイト
https://www.mlit.go.jp/road/tech/pdf/catalog-hosou0030.pdf
(※2)参照元:「nauto」公式サイト
https://nauto.jp/service/road-safety
(※3)参照元:「nauto」公式サイト
https://nauto.jp/
			

福岡市で各種許認可、契約書作成、補助金申請等を行っている行政書士。
「法令を遵守し、お客様にお役立ちし喜ばれること」を経営理念とし、可能な限り価格を抑え、スピーディに許可申請を行い、その後の運用までを見据えた業務のサポートを心がけています。