【法人向け】車両100台以上のフリート契約事業所が事故を起こした場合
営業車・配送車を100台以上保有する法人は、一般にフリート契約(10台以上)で自動車保険に加入します。フリートは管理が効率的な一方、事故発生が翌年度以降の保険料へ直接的に反映され、さらに保険では賄い切れない間接コストや社内工数も増大します。
本ページでは、制度の概要と、保険料増加・間接損失・工数の規模感を数値例を使って整理します(参考情報は末尾「参照元」をご確認ください)。
フリート契約と保険料増加の仕組み
フリート契約(10台以上)では、一般的なノンフリート等級制度ではなく、契約全体の事故実績(損害率等)を反映する料率が適用されます(経験料率・フリート料率制度)。過去の事故件数や支払保険金額が大きいほど、次年度の保険料が割増される傾向です。
- 対象:原則10台以上の法人契約
- 決定要素:過去の事故実績・損害率・車種構成・用途など
- 影響:事故が増えると翌年度の料率が悪化(割増)、抑制できれば割引方向
※参照元:三井住友海上「法人向け自動車保険|保険料の決定の仕組み」/損保ジャパン「フリート契約とは」等(参照元URLは本文末)
保険料増加の概算シミュレーション(目安)
前提 | 値 |
---|---|
保有台数 | 100台 |
現行年間保険料 | 1台あたり10万円 × 100台 = 1,000万円 |
事故発生(例) | 人身2件+物損4件(合計6件) |
想定される料率見直し幅 | +20〜30%(事故実績・査定に依存) |
翌年度の増額分 | +200〜300万円(水準が数年継続する可能性も) |
※あくまで目安です。実際の割増引率は保険会社の算出に依存します。
保険料以外の「隠れた損失」(1件あたりの目安)
区分 | 内容 | 目安 |
---|---|---|
業務停止・代替車 | 修理中の稼働停止/代車手配/納期遅延など | 5〜15万円 |
社内対応時間 | ヒアリング/事故報告書/社内承認 | 5〜10時間 |
事務手続き | 警察・保険会社・労災等の書類作成 | 2〜3時間 |
対外対応 | 相手方との示談・謝罪訪問・連絡調整 | 交通費+時間コスト |
評判リスク | ブランド毀損・取引影響(ケースにより甚大) | — |
上記の合算で、1件あたり10〜30万円超の間接コストが発生することも珍しくありません。修理費の地理差や水準把握には、工賃単価の公的調査も参考になります。
参考:金融庁「工賃単価に関する調査結果について」(参照元URLは本文末)
事故対応で増える社内工数(フロー例)
フェーズ | 目安工数 | 主担当 |
---|---|---|
初報・応急処置・一次連絡 | 即時〜当日 | ドライバー/上長 |
事故報告書・関係部門連絡 | 1〜2時間 | 現場+管理部門 |
警察・保険会社対応 | 2〜3時間 | 管理部門 |
修理・レッカー・代車手配 | 1〜2時間 | 総務・庶務 |
相手方対応(示談・謝罪等) | 半日以上のことも | 管理者・役職者 |
再発防止ミーティング | 1時間 × 参加人数 | 安全委員会 等 |
1件あたり延べ10〜20時間超の工数消費に至るケースもあります。
年間損失シミュレーション(事故5件/年の例)
- 翌年度の保険料増加:200〜300万円
- 間接コスト:10〜30万円 × 5件 = 50〜150万円
- 工数ロス:15時間 × 5件 × 時給3,000円 ≒ 22万円
合計:272〜472万円以上の損失(目安)。
※実際の料率・補償設計・修理費・停止損失により大きく変動します。
損失を抑えるための実務対策
- AIドラレコ・運転行動スコアの活用(急加減速・ながら運転の抑止)
- 安全運転教育(初任・定期・事故後のリフレッシュ研修/eラーニング)
- 事故対応BPO(初期対応〜修理・代車手配の外部委託で工数削減)
- データに基づく再発防止(事故多発地点/時間帯の把握、運行計画の是正)
- 補償設計の見直し(免責・特約・用途別の最適化、更新時に事故傾向を反映)
参照元
- 三井住友海上:法人向け自動車保険|保険料の決定の仕組み
- 損保ジャパン:『SGP』フリート契約とは
- 東京海上日動:自動車の保険(法人のお客様)
- 金融庁:工賃単価に関する調査結果について
※具体の料率・補償適用は各社の見積・約款・査定に依存します。詳しくは各社窓口へお問合せください。
AI 搭載ドラレコ 3 選
これからの車両管理システムには、安全管理機能が必須です。
そこで、ここではすでに多くの企業で導入されている3つのAI搭載型のドライブレコーダーを紹介します。
それぞれタイプが異なるので、導入の参考にしてください。
管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 |
---|---|---|
運転者認証 | 顔認証(自動) | |
データ閲覧 可能な人 |
管理者 | 運転者 |
アルコール チェック |
連携・一元管理 | |
プラン | 購入 | レンタル |
トライアル | 2ヶ月可 (台数による) |
特徴
- 精度の高いAIが本当に危険な運転だけを検出・可視化。管理者の確認負荷を減らし効果的な指導ができる。機能は随時追加。
- 他製品には少ない「本人への週次レポート通知」により、運転者の自覚を促し安全意識を高め、未然の事故防止を実現する。
運営会社
GOドライブ株式会社
管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 |
---|---|---|
運転者認証 | 顔認証(自動) | |
データ閲覧 可能な人 |
管理者 | 運転者 |
アルコール チェック |
連携・一元管理 | |
プラン | 購入 | レンタル |
トライアル | 可能 (台数による) |
特徴
- 一般的なAIドラレコは20km/h(※1)前後が限界とされる中、8km/h(※2)の低速でも携帯保持や喫煙を高精度に検知。 リスクを早期に可視化。
- 全世界から集めた50億(※3)km超の走行データでAIが進化。自社開発のハードが常にAIの最新アルゴリズムに対応し、導入後も高精度な安全管理を長期に実現。
運営会社
Nauto Japan合同会社
管理範囲 | 動態管理 | 安全管理 |
---|---|---|
運転者認証 | 免許証 | |
データ閲覧 可能な人 |
管理者 | 運転者 |
アルコール チェック |
オプション | |
プラン | 購入 | レンタル |
トライアル | 2週間可 |
特徴
- 安全管理の「Safety」、動態管理の「NEXT」、アルコールチェック、物流・バス向けなど、必要に応じて連携が可能。
- AIで危険運転を警告し事故回避をサポート、日常運転も含めた全走行データを収集、事故や危険運転の映像を直ちに再生可能。
運営会社
NTTドコモビジネス株式会社
(※1)参照元:LINEヤフー公式サイト
https://minkara.carview.co.jp/userid/3358572/blog/45150239/
(※1)参照元:電子情報通信学会公式サイト
https://www.ieice.org/publications/conference-FIT-DVDs/FIT2011/data/pdf/I-014.pdf
(※1)参照元:国土交通省公式サイト
https://www.mlit.go.jp/road/tech/pdf/catalog-hosou0030.pdf
(※2)参照元:「nauto」公式サイト
https://nauto.jp/service/road-safety
(※3)参照元:「nauto」公式サイト
https://nauto.jp/